カテゴリ:時事( 12 )

夏学期(12週目:ロンドン同時多発テロに思う)

7月7日、2012年のオリンピック開催が決まった翌日、そしてG8サミットの開催に合わせるかのように、ロンドン同時多発テロが起きた。どこも僕がかつて行ったことのある場所だし、イギリスにいる知り合いも前日とかにそこにいたりして、とても他人事として済まされない事件だ。無実の一般市民を犠牲にするテロという行為は断じて許されないことだし、不幸にして事件に巻き込まれた人にはお悔やみを申し上げたい。それとは、別に今回の事件については、ひっかかる点などがあったので書いてみる。

1.僕が臨時ニュースで知った時、この事件は、まだ地下鉄内の列車トラブルとして扱われていた。その時既に犠牲者がいると報道されていたのだが、まず、印象に残ったのは、英当局や一般市民が比較的冷静に対応したということ。犠牲者が他の事件に比べてそれほど多くなかったというのもあるのだろうが、マドリードのテロ事件や9.11に比べて、映像で見る限りでは、パニックというものが感じられなかった。現在のところ、イスラム社会に対する反発や、ブレアの対イラク政策に対するデモなども起きていない。イギリスはIRAの問題もあり、僕が、ずいぶん昔に英国に滞在した時も、デマも含めて、こういった事件は頻繁にあった。普段からテロなれしているということなのだろうか。

2.こうしたテロなれしていると思われる英国であるのにも関わらず、サミット開催当日という最も気をつけなければいけない時期に、テロをやすやすと許してしまったのは、どうも腑に落ちない。テロを100%防ぐことはできないといった意見や、サミットで警備が手薄になっていたという意見も聞かれるが、報道で見る限り、実行犯はすべての事件を、自爆テロという手段を用いずに、成功させている。爆破に使われた爆発物がどれほどの大きさなのか分からないが、何か予防策に問題があったのではないかと思わずにはいられない。ロンドンに何回か行った印象では、テロに対する防衛策が特段講じられているという印象はなかった。英国では監視カメラが都市部に設置されており、マシンガンを持った警官が目を光らせるという対応はとっていない。今回の事件は、こうした目に見えない防衛策が有効に働かなかったということを意味しているのだろうか。

3.複数箇所で犯行に及んだにもかかわらず、マドリードの事件(死者約120名)に比べて、死者が半分以下であったのは、なぜか。ロンドンという場所は、テロの政治的意義を達成するには、米国の大都市に次いで、最も重視されるべきところだと思うのだが、それにしては、犠牲が比較的小規模に収まったと感じるのは、僕だけであろうか。(この記事の投稿後、死者は当初発表の50名程度から70名まで増えたことが明らかになった。)

4.今回の事件の後、アル・カーイダ系を名乗る団体が、インターネットで犯行声明を出しているが、今までのところ、英当局も言っているように、今回の犯行で使われたとされるプラスチック爆弾は、IRAがよく使っていたもののようであり、確たる証拠はない。このような段階で、ブレアが、国内のイスラム社会への影響を懸念しつつも、「イスラムの名のもとに行われた犯行」と言ってしまったこともよくわからない。マドリードの事件はでは、選挙への影響を恐れて、当初アル・カーイダの犯行ではないといったことと逆のことが行われたしまったのだが、結果的に、イラク問題で分断されているEUその他の国を結束させる意図でもあったのかと勘ぐってしまう。(会見するブレアの後ろで、ブッシュやシラクと並んで中国、インドの首相が映っていたのは偶然か?)

5.そもそも僕はアル・カーイダなる組織がなんなのかよくわからない。米国のネオコン曰く、この世には国際テロ集団があり、これが緩やかに結束しつつ、同一の目的にしたがって、各自が自主的に行動しているというのだが、アル・カーイダなんて言葉は、9.11以後に出てきたもののようだし、米国が共産主義ネットワークなるものを冷戦時代に考え出したことと変わらないのではないかとも思ってしまう。情報の出所が、大義なき戦争をした米国だけに、余計に疑ってしまうのだが、アル・カーイダなる実態のないものを公表したが故に、世界に散らばっている不満分子を、アル・カーイダの名の下にテロを行うように促してしまった面もあるのではないのだろうか。

6.こうした不満分子の出所をたどると、最初の湾岸戦争後も、米軍がサウジアラビアに駐留したことによる、ビン・ラディンを始めとするイスラム過激派の反発に行き着く。他にも似たような国があるなあと思ったら、わが国日本だった。戦後、米軍は反共や治安維持の名の下に、日本に居座り、冷戦後も、中国や北朝鮮の脅威を理由に、日本に駐留したままだ。もちろん、これは、日本側の要請でもあるのだが、一部極右・極左の反米主義者以外は、こうしたことに疑問を感じていないように思える。米軍駐留軍の7割近くが沖縄という一つの県に集中しているためでもあるが、良く言えば、かつての敵国と手を結んで、防衛力を担保する非常に現実的で賢いやり方だが、悪く言えば、自国の真の独立を先延ばしにしているだけとも言える。日本とイラクで状況が全く違うのは、よく言われる天皇という国の中心を維持した米国の占領政策の上手さだけなのだろうか。はたまた、従順な国民性故なのだろうか。体制の異なる中国、北朝鮮と日本との間に信頼関係が生まれるのはまだまだ先の話だろうし、その間ある程度の米軍は駐留せざるを得ないのだろうが、テロが起きる根っこの部分で西洋文明に対する反発という類似性を日本も有していると感じずにはいられない。
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by otschan | 2005-07-10 13:25 | 時事

夏学期(11週目:日本で流行るもの)

日本のテレビでここ最近気になるのは、「自給自足の生活」だとか「月10万円で暮らせる街&村」とかいう特集。僕は、これは、ニートだとかいう何もしない若い人達が出現してきているのと同じような現象ではないかと見ている。拝金主義、仕事中心主義に対する社会的反抗なんではないだろうか。でも、誰でも自給自足ができるというわけでもないし、仕事がない田舎で暮らせるわけでもないから、それもできないけど、がむしゃらに働くことに魅力を感じない人は派遣社員かニートになるんだろう。一方で、ホリエモンに代表されるように、IT産業を中心として、独立企業家も増えているようで、従来の会社主義、集団主義を打ち壊しつつ、過剰な拝金主義に向かっているようにも見える。日本政府も、ニート対策や残業対する指導を厳しくしているようだけど、果たして日本はどっちの方向へ向かうのだろうか。今のところ政府としては経済力以外に国力を誇示できる手段は見出していないようだから、コアの部分として会社主義、拝金主義は残っていくのだろうなという予感はする。日本のポップカルチャーが、ソフトパワーとして、クール・ジャパンをアジアに広めたように、楽しそうなライフ・スタイル、きれいな街並が日本の国力の新たな源泉になる日が早く来ればいいのになと思う。がんばっても常任理事国になれないんだったら、国連分担金やアメリカの国債買うお金を日本国内に回せばいいのにとも思う。せめて、欧州並みの福祉国家になってから、よその国のお世話をしてもいいんではないかと・・・。
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by otschan | 2005-07-04 10:01 | 時事